未生の美-技能五輪の技 豊田市美術館

未生の美-技能五輪の技 豊田市美術館

愛知県は製品出荷額が全国有数の工業地域です。なかでも豊田市は自動車産業が盛んな「モノづくり」の中心地です。古くは猿投古窯に代表される焼き物、近代には養蚕業と、伝統的に産業が盛んな地域でした。現在、「モノづくり」の現場ではさまざまな工程の自動化が進み、人の手による作業が機械に置き換わる領域が増えています。しかし、手作業の重要性が失われることはありません。どんなに機械化が進み、ロボットが作業を代行するようになっても、そのロボットに動きを教えるのは人間です。自動化とは、人の手わざの滑らかな動きをまねることだとも言えるでしょう。また、自動化されたシステムを制御する技能も同様です。製造業の企業では、そういった技能の重要性を認識し、それを会社として伝承していこうとしています。2年に一回開催される技能五輪国際大会は、訓練を重ねた若い技能労働者たちが世界中から集い、腕を競う場で、そこで生み出された「モノ」は超絶した精確さを具えています。
本展は、モノづくりにおける人の手わざの重要性を再認識し、その意味や役割を知ると同時に、それらが持つ精確さの中に「美」を見出し、卓越した技能が生み出す「モノ」に新たな光をあてようとするものです。技能者の手による正確無比な製作物と、それらに触発された美術作家による写真や映像作品との共演をお楽しみください。

豊田市美術館HPより引用

https://bijutsutecho.com/exhibitions/10903

産業革命史 2022年/11分/日本

技能五輪全国大会に出場する選手たちの訓練の日々を記録した作品。木材や鋼鉄などの一次的な加工材、プリント基盤や電子部品など製品同士の接続、プログラミング言語を操りPC内で構築するものなど、各種目を記録していると人類が生み出してきた産業の変遷が見えてくる。全てが現在の生活に欠かせないものだが、選手が駆使する身体や指先の動作は、扱う道具や機械と適応し様々な姿を見せる。産業と人間の身体的な関係に迫る。

身体が機械を動かすのか、機械が身体を動かすのか、選手たちの正確な反復運動を見ているとそんな事を思います。扱う素材、扱う道具や機械に適応する形にアップデートされていく身体の各部の違いに関心を示しつつ、あらゆる差異の積み重ねを確認することに置いて、常に変わらない目の役割の純粋さと鋭さに引き寄せられるようにカメラを向けました。

監督、撮影、編集|岩田隼之介


Posted

in

by

Tags: